・天使とは何か
まず、エンジェルとは、私たちの地球ではキリスト教などで一神教の遣いとして描かれます。
そもそもこのクナウザスは地球と「ねじれの位置にある」とされ、兄弟世界とされます。
クナウザスは地球を一方的に観測できます(とはいえ、高度な「魔法=梵子科学」が必要ですが)。
地球からクナウザスはせいぜい「空想」し、それが偶発的に事実と合致していることがある、
その可能性を我々の次元では否定し得ない、といった程度のことしかできません(私たちの創遊活動ですねw)。
このクナウザスではおよそ二種類の天使がいます。
一つは、地球のそれを反映し、未知なる存在のような、高次元のものです。
(クナウザスは私の宇宙観で7次元にしてあり、天使や悪魔は9次元)
低次元で真理を究めたものがなることもあるようです。
神と人の中間にあるようなもの、ですね。高次元過ぎてよくわからん存在で、
いわゆる善と悪の前者に死ぬほど偏っているようで、時として、人間に牙をむくこともあるでしょう。
ほとんどは間接的にしか人間世界に干渉せず、「使徒」に化けたり(魔法による瞬間的退化進化)、
人間を使徒に指名して動いたりします。
ただ、高次元の理(総体世界の真理は一つなので)が働き、善が干渉すれば悪も干渉できるようになるため、
干渉には危険性があり、あまり表立った動きもありません。
(無敵の天使が何でも解決する、中世の教会の世界観ではつまらないファンタジー世界になってしまうので・・)
このような天使(悪魔)は、その代表的な神として言われる「光(闇)」の虚神に通じ、それと同じように、
非常にアバウトなもので、存在自体疑われています(明確に、「ない」という梵子科学者もいる)。
なので、プレイヤーの冒険に関わることは基本的に在りません(多分、よほどのことがないと使わない方がいいとおもいます。
むしろ、小説や裏設定として、信仰について深く考え、私たちの世界が持つ宗教観をクナウザスの環境を利用して
より深く考察する、または皮肉る、そういうときにNPCたちに「誤った価値観」の拠り所として語らせたりする、
またはより深層心理的な普遍価値を示す際の象徴として利用するのがいいと思います)
さて、次が本題です。
もう一つ、より身近(といっても伝説上ですが)な天使があります。
しかしこれは、現代クナウザスではダークエンジェル(堕天使)しかありません。
これはある種の魔族であり、生物です。知性はあるが邪悪で、モンスターというしかないものです。
これの派生を通し、設定として重要となる一つのファクター、「入植戦争」についてご説明します。
クナウザスには大きな宗教として魔導王教と創世主教があります。
この二つはすっごいありがちな、コテコテの、邪悪な教団VS聖なる教会というものにも近いですが、似て非なるものです。
そもそも地球ではヨーロッパでこういうものがあったわけで、それを反映してファンタジー世界に取り入れられている要素です。
いわゆるカソリックなどが聖なる教団、それ以外は全部邪教wといわれていたような話です。
低次元地球では、こうしてよくみると非常におかしいこともまかり通ってしまいますが(教会による十字軍遠征の蛮行、魔女裁判などの殺戮は有名です)、
高次元クナウザスでは一時的にそうなっても、次第におかしさを修正するようになります。
(ここでは世界の半分、「意義世界」が「物質世界」より強いため、意義の物理法則がより反動的に働く)
歴史の戦いを通し、次第に、二つの宗教はクナウザス上でより相応しく安定しました。
創世主教は人類社会など、より集団化、平和的、世界と協調する、「和」の方面へ、
魔導王教は、魔族や裏社会など、「独」を重んじる方面の拠り所となり、それらを集約して先鋭化させるのではなく、
むしろ落ち着け、安定させるための力となったのです。
こうして二つの宗教は現代社会で主要なものとなり、他の宗教より大勢を占めました。
しかしこの相反するはずの二宗教は、ある歴史家に言わせれば「同じ物」だそうです。
なぜかというと、二つが最初に生まれた源流、その時点は同じ「入植戦争末期」だったからです。
・入植戦争(注:この設定は現代クナウザスではほぼ失われ、知るものはほとんどいません。
全てのことは「伝説」にファンタジックな要素に変えられています。なので、暗黙の了解として知るだけで、
スパイスとしてのみご利用ください)
私たちの超未来(西暦3000年くらい?)、地球では少々ありがちな展開ですが、人類が地球環境を食いつぶし、
汚染ヘドロに満ちていました。
人類はある者たちは移動型巨大コロニーを作って別の銀河を目指して旅立ちました(※これを題材にSF戦術ゲーム「ヴァタノーザ戦記」を大昔に作りました(--;)が、ある者(超科学による支配階級)は残り、科学による仮想現実空間で享楽をむさぼっていました。
(その空間自体が第二の地球であったりするかも。映画マトリックスのように)
しかし、自分の肉体自体は世話を必要とします。そのため、その人類は恐るべきことをしました。
科学の力で無機物質から私たちと寸分たがわぬ人間を作り出したのです。
それは人間でありながら、無から作り出したのだから、「モノ」でしかない。その人類はそう考え、
彼らを道具として奴隷化しました。
彼らは「テンシ(天仕)」と呼ばれました。
実験室で家畜のように生み出され、何万、何億という天仕がヘドロの処理でゴミのように死んでいき、
支配階級の「人間(=神)」の慰み物とされていきました。
このような中でも、彼らの欲望は果てることなく拡大し、仮想現実ではない世界を支配したいと高次元を次元探索します。
そこで、小さな次元の穴を発見し、彼らはクナウザスを発見しました。
かつての地球のような美しい自然環境を、同じ時間を経てもなお満々と湛える高次元の兄弟世界。
神を自称する人類は歓喜し、早速ここに軍隊を派遣することにしました。
彼らは天仕に、「入植戦争に勝利したら、かの世界を汝らに与えよう。人間として生きるがよい」と宣言。
大喜びしたのは天仕たちです。ゴミ、奴隷、家畜、とされていたのが、人間として自由を得られるのですから。
彼らの中で最も優れた者が選抜され、その指導者、入植戦争の総指揮官として任命されたのが、
「天子」です。
これは、普通の天仕と違い、実験室で高度な人間を作る目的で何度も実験を繰り返し(ひどい実験で、
失敗した奇形などが打ち捨てられたり幽閉されたりが何万と繰り返された)、ようやく生まれた
スーパーハイブリッドの中の最高の「傑作品」でした。
それゆえに、作った者たちすら予想できないほど、彼の精神は高潔でした。
彼、ファーゼスは真にメシアのような気持ちで天仕を哀れみ、しかし表向きは「神」に従ったふりをして、
クナウザスに先遣隊を率いて転移しました。
それまで、クナウザスには明確な世界観のまとまりはなく、
ファーゼスがこのとき、クナウザスに降り立って感慨深くつぶやいた言葉
≪これが「新天地(奴隷語で「クニャナピロセス」とかいう発音)」か。なんと美しいところなのだ≫
から、「クナウザス」という世界の名前が以後にいつの間にか使われるようになったという説があります。
いずれにせよ、初めて、外の世界から客観的にクナウザスがそのまとまりとして見られた事件でした。
先遣隊が降り立ったのはクナウザスの中心、中央大陸のど真ん中の山脈でした。
奇しくも、闇の神ツァルツの本拠地です。
ツァルツは彼らを歓迎すると見せかけ、だまし討ちにしました。
その異次元からもたらした科学力を奪い、世界支配に利用しようとしたのです。
ところが、ファーゼスは極めて賢明な人物で、しかも命を賭して人々のために戦おうという決意に満ちていました。
彼と、彼の従者たちの奮戦に押され、激戦の末、あろうことか闇の神ともあろうものの軍勢が大敗を喫します。
これを影で見ていた光の神ヒューラは、今まで争い続けてきた闇を打ち倒す唯一無二の好機と感じ、
ファーゼスに憑依し、自らを光の剣として、ついにツァルツに止めを刺します。
ファーゼス自身は大変思慮深い者であり、ツァルツを殺すことは無いと思い、ただ自分たちをわずかでいいから
受け入れ、土地をもらいたいと交渉にはいるつもりだったのに、です。
しかし、このことは善の愚かさ、矛盾を象徴するようなことで、世界の運命は光に最大の報いを与えました。
ツァルツが死んだとき、その闇の力の爆裂がヒューラに当たり、彼もまた瞬時に蒸発(反属性物質による対消滅)してしまったのです。
ファーゼスは光と闇の死に立会い、その力を体に受け、体細胞に刻みつけながらも、その高度な肉体が
彼を原子分解の危機から救い、逆に吸収して力とさせました。
こうして、光と闇の神の一部の力を得た天子は、超超巨大転移施設「天を突く塔」を建設し、天仕たちを召喚して
入植を始めました。
四大虚神は、敵としながらも世界の維持のために残しておいた光・闇の消滅による世界のバランスの急速な悪化、
そして異次元から超科学力を武器に押し寄せる入植軍に大きな脅威を見て、
生まれて数十億年、初めて手を取り合い、入植軍と対決しました。
「人間となりたい」「せめてささやかでいい、自由がほしい」こんな切なる願いでワラワラと押し寄せる天仕軍は
殺しても殺しても来るので、四大軍は次第に疲弊します。しかし、それぞれに最強を自称する神である四大がこうも攻めあぐねるのは、
どうも彼らは次第に、この「押しかけ人類」に憐憫の情を抱きつつあったからです。
その様子を見てファーゼスは決心し、四大と交渉に入ります。
実は、彼が神から受けていた真の指令とは、「クナウザスの生物を撃滅し、支配下におけ。その後、天仕どもを奴隷として
そこで使用し、有用物質を掘削して地球に全部転送せよ」でした。
しかしファーゼスはそれを無視し、四大神に、天仕たちを人類として、生物として受け入れてほしいこと、
どんな試練も自分たちで超えるから、と言いました。
四大はそれぞれに「やれやれ、小さき者どもがどうしようと、我が究極の属性は何も感じぬ」とかなんとか悪態をつきながら
それを容認することを約束。
ファーゼスは感謝し、全ての天仕を移送させようとします。
ところが、それを遠隔カメラで見ていた「神(地球人)」は激怒します。
彼はファーゼスを裏切り者と断じ、天使たちに命じて彼の抹殺と、天を突く塔に隠されていた真の力を発動させようとします。
天を突く塔は地球のヘドロを全てクナウザスに転移させる力を持っていたのです。
自らの「神」の様子に哀れみすら感じた天子ファーゼスだが、人々の未来のため、単身、天を突く塔最上階へ赴き、
最後の戦いを始めた――
さて、ようやく天使が出てきました(--; 話が長くなってすいません。。
この天使は、いわゆるサイボーグです。クナウザスでは機械すら生物となりえます(機械生物)が、地球では単に機械と
生体の融合です。
天子や天仕と違うのは、感情も生殖能力も寿命も無い完全な操り人形であることで、キリスト教のエンジェルをモチーフとし、
皆型どおりの美しい姿(冷徹な様子にも見える)、白い羽を背につけて、神の命令に絶対的に従います。
これまでは戦闘力に劣る天仕を率い、サポートしていましたが、神の命令があれば天仕を虐殺したりもします。
天使たちと天子の戦いは苛烈を極めましたが、ファーゼスは打ち勝ち、自分の残りの全ての力を使って
天を突く塔を封印しました。
四大神はファーゼスの遺志に従って天仕たちを人類として認め、他の人類種に彼らを受け入れるように
神の権限で宣言を出し、以後は不干渉を決めて兵を引きました。
以後の宗教について書きますと、
天子を人類のメシアとしてみたものたちは「創世主教」を、彼をツァルツの後継者、魔を導く者としてみた者は魔導王教を
次第に形成しました。
これらは元々在った土着宗教を収斂させて、より高度に組織化した感じです。
このことを両者に指摘したら場合によっては刺されますねw
しかし、大丈夫です。それについて知るものもおらず、知っていてもそれを声高にいう必要も無いと思っていますので・・
(特に、高次元の道理では、「違うものは同じ。同じものは違う」ということもあるとされます。
ルーツは同じだが、だからこそ両者は真に相反する、同じものを違うと見るほどに完全に違う、という言い方をすれば、
両者は究極的に違うとクナウザスでは断言できます。まぁ、要はわれわれ製作陣の都合次第ということで(^^;)
しかしファーゼス自身はというと、四大神は、失われた光・闇が対消滅して残ったものをその後釜として据えることを決め、
彼を「無の虚神」として指定しました。
これにより、バランスを失っていた世界の素梵子流動は一先ず安定しました。
こうして、ファーゼスはただの人(とはいえ、超ハイブリッドではあるのですが)でありながら、聖・邪・無の3種の神気を
帯びるようになります。
(以後もさらに歴史の戦いを通して強化されていきます。それ自体がある者の狙いとも知らず・・・)
ファーゼスは無の神らしく、その名はほとんど歴史上誰も知りません。ただ、天子、創世主、魔導王といったキーワードが
人々の印象にあるだけで、その実体版が彼だといえます。
※魔導王はクルゴードも名乗っています。こいつもけっこうしつこいwです。ゼナは一度、新旧魔導王派に分かれて内戦状態になりました。
その後、天仕たちはエバダムと呼ばれるようになり、クナウザス人種の一つとして、不器用な生存闘争を始めます。
塔が封印されたためにもはや超科学にもたよれず、体の組成が違うために病原体に弱く、梵子環境にいた経験が無いので
魔法(梵子術)も使えず、せっかく入植したのにバタバタ死んでいきます。
特に、高次元らしい恐るべき病原菌(クナウザス生物なら耐性がある)のせいで、あっというま(二百年足らず)に数十億が数万人まで減ったといわれます。
(それでも、きっと入植を後悔した人は一人もいなかったと思います。皆、絶望にわずかの希望の光を見出しながら、
次世代に託し、死という生を積み重ねていったでしょう)
それでも、彼らには微かな希望もありました。最初はこわごわ遠目から見ていた他の共知種族が次第に彼らを受け入れ、支援し始めたことです。
彼らの援助で病気を治すこともでき、魔法も使える世代もではじめます。(遺伝子に、魔力を取り入れはじめた)
特に、「平均化進化」がこの時代を予期していたかのように急速に起きていたこともあり、どの種族とも近い容姿を持ち、
クナウザス環境に感謝して全ての種族と調和をしていきたいと思っているエバダムは他種族の仲介者としても重宝されるようになります。
(エバダムは私たち地球人と同じでありながら、わずかに違います。クナウザスの高次環境が精神のあり方にも影響しているのかもしれません。
地球人は地球で唯一人類であろうとする本能に毒されていますが、彼らは本能的に他生物種族と協調できるのです。
エバダムはクナウザス種族では脇役ですが、私たち地球人からするとやはりクナウザスでの自分たちの代弁者、別の方向性を考える
一つの可能性を示す存在でもあるわけで、以後の歴史の物語にもちょくちょく登場しますし、異次元から来た者がもつ、不思議な運命力をもつ者もいて、
歴史を動かすことも少なくないです。
入植後6百年ほどで現代の人類国際社会が形成され、その間の人類社会の急速な激動的変化も、彼らがもたらしたといえます)
もともと、ツァルツやクルゴードがいた中央大陸は混沌時代の残り香がもっとも残る邪悪の地でしたが、いつしか、エバダムの影響でまとまった
全共知種族の国家が誕生し、中央大陸の邪悪を退けて、人類の国際社会の中核となる国家が誕生します。
それがアガデス王国(邪馬台国っぽい)であり、そこから派生して世界最強となったヒロア聖王国(アメリカっぽい)です。
創世主教(他と協調する)はアガデスの人々をまとめる主軸となり、ヒロアでは新創世主教(邪悪をぶったおす)が作られ、聖教とされています。
では、天使はどうなったでしょうか。
彼らは哀れな末路をたどりました。
ファーゼスは力をふりしぼり、もはや地球側から以後絶対にクナウザスにアクセスできないように、次元穴を完全に遮断しました。
これで主人を失い、生きる方法も目標も無く、エバダムにも忌み嫌われ、うち捨てられた彼らはクナウザスをあてども無くさ迷いました。
生殖能力が無いので一代で消え去る運命も、生物としての彼らを本能的に嘆かせました。
しかし、懐深き大地(と、オゼリア神は自慢げにいい、他神の怒りを買うのですがw)は彼らを見捨てませんでした。
梵子環境がどう功を奏したのか、天使の中で生殖能力を持つことがあり、エバダム(不思議なもので、どういうところにも愛は芽生えるようです)
との子孫が生まれました。
このエバダムハーフは、感情と不老、高い能力というエバダムと天使のいいとこどりをした種族、「エルフォース」と呼ばれます。
しかし、彼らは数が少なく、大変微妙な存在であったため、次第に集まりあって邪悪の森の奥に隠れ住み、
最初は「エンジェル」として畏怖の対象となり、現代では「エルフ(森の妖精)」といわれ、半ば人類扱いされていない感じです。
でも、彼らは幸運な例でした。
もっと多くの者は、別の形で救われました。しかし、それが幸運だったかはわかりません。
魔族が、天使の生殖能力の欠如に付け込み、邪悪な力で彼らと性交渉し、子を設けさせたのです。
こうして生まれた子は、しかし、99%魔族、ダークエンジェルとなってしまいます。
種としてはほぼ「進化」というより別種への「転換」に等しいこと、騙された天使は後悔時すでに遅し、
自分の子に喰われたりしました。
また、心の中に人類の性質をわずかに残すその子孫も、自分の境遇にぶつけどころのない憤懣を持ち、それが人類へのすさまじい憎悪となっています。
彼ら(成体)は大柄で体は全て純白で少し鈍い輝きをもっており、皮膚はのっぺりしています。
背には大きな羽がありますが、少し破れているようにも見え、まるで悪魔の羽のようでもあります。
目は赤くらんらんと光っています。
魔族由来の暗黒魔法を行使でき、なぜか光の魔法も少し使える奴もいます(光の虚神が裏で何か悪さを・・・?)。
また、心術系も使えます。特に、こちらの動きを読んだり、「金切り声」でパーティ全員を恐慌・麻痺させたりします。
言語は持たず、念話でコミュニケーションをとっているようですが、ほとんどの場合、人類側から話しかけても決して応じません。
よほど不利でない限り、人類だから殺す、というモチベーションで襲ってくる、大変危険な相手です。
ただし、互いに協調できないようで、村を作ったりすることは無いのが救いです。
遺跡などに家族単位で隠れ住み、羽を使って飛行し、遠くで人に襲い掛かって殺し、物資を奪うこともあります。
飛行できるため、全世界の遺跡に住みますが、特に多いのが中央大陸の「遺跡群」です。
最後に、そこについて書きます。
天を突く塔はその後、放棄されました。
人々はエバダムを人類として受け入れるため、暗黙の了解的に、入植戦争について語ることをご法度とし、
事実は急速に失われました。その代わり、「天子」をメシアとして崇拝する創世主教ができ、彼らの言う
「創世神話」がまことしやかに語られ、普及して信じられました。
そのため、クナウザスの歴史は彼らの「設定」した暦で、中央大陸に国家が生まれたあたりは1900年くらいにされていました。
実際は入植後300年ほどでアガデス王国、+100年でヒロアです。
その後、ヒロアの台頭、以前よりあったハーティス帝国との軋轢に
魔導王教の系統を先鋭化した「エスベス教(命題教)」という新興宗教団の暗躍、
そして天を突く塔にまつわる入植戦争の裏の真実があいまって、
「大陸間大戦」が勃発します。
アガデスで戦争孤児を集めた「星騎士団」、その団長の少女シェリル・バートレイの活躍もあって
大戦は大きな被害を出しながらも終結しました。
それで平和になった、というのが表向きの歴史教科書ですが、そのすぐ後、実は、歴史書にほとんど書かれない戦いがあります。
エスベスの教祖アシュウエンネ、そしてそれを操るクルゴードの暗躍で天を突く塔は再び世界に災厄をもたらしましたが、
魔導王として復活させられたファーゼスはシェリルたちの仲間になり、共に塔を再封印しました。
その後の祝勝会で何かあり、ファーゼスは失踪。
その1ヵ月後、突如現れた「創世主」なる存在が世界に出現し、永久に世界を平和にすると宣言。
あらゆる国家権力はこれに従うよう、強烈な遠隔念話で「宣言」します。
この宣言は通常の魔法的な力を超えており、反抗心を抱いただけで思考が麻痺してしまうほど。
世界は総体神の意思で強制的に統一されるかに見えましたが、
当時のタラム大導師カイ・ザード(伝説の存在です。その前のクルゴードの英雄伝説では影の主人公の役割)はシェリルに
この創世主とやらがファーゼスであるらしいこと、何か、得体の知れない存在がその影にいることを助言します。
シェリルはその聡明さと生物種を超えたファーゼス(このとき、彼はほぼ魔族化していた)への愛により、
歴史の裏に潜んでいた真の闇「天支(テンシ):ウナイブ」を看破し、
操られていたファーゼスを救出、星騎士団とともにウナイブを撃破します。
(ウナイブはかつて、カイたちとともにクルゴードを倒した影の勇者の一人。永久寿命で、ずっと歴史の影で、ファーゼスの信頼する
腹心として実直に働いていました。ですが、実は、心にひめたるものがあったのです。
彼は、ファーゼスのようなハイブリッドを生み出すために作られ、捨てられた失敗作の一つで、奇形でグロテスクな顔の半分を
仮面で隠しています。実験室を訪れた子供だったファーゼスが偶然彼を見つけ、「神」に彼を殺処分せず、自らのお付の友人にすること頼んだのでした。
ウナイブは死ぬ間際に言います。
≪ファーゼス様が私を見出したとき、私の心には、強烈な感情が濁流のように流れた。
狂おしいほどの愛。絶対の忠誠。そして――決してぬぐいさることのできない激烈な嫉妬――≫
自分という醜い出来損ないを作り出した愚かな偽の神を超える真の、究極の総体神としてファーゼスを作り上げ、恩を返すとともに、
それを永久に裏から支配することで復讐も果たす、
これが彼の、歴史そのものを舞台とした巨大な計画でした。)
なお、出現した創世主のことは「神代の夢」といわれ、歴史の影に伏せられ、教会も統一見解を出していません。
しかし、歴史をある意味捏造したことで真実を把握できなくなり、悲劇を生んだことも事実でしたから
大戦を契機に生まれた国際主要国家連合は共同声明で、エバダムを加えた入植戦争末期からを新暦とすることを宣言。
現在は新暦600年前後のクナウザスを現代としています。
(中略)
これら設定が文書化されていないのは、もともと、企画初期に作っていた「クナウザス三部作(創世記、秘伝説、大戦記)」というゲーム作品が
このストーリーそのものであったためです。
この作品はツクールのコンテストで受賞しましたが、あまりにグラフィックが稚拙(一人でやっていたので私自作w)で
ちょっと黒歴史化し(--;、今では設定のみ私の頭にあります。
今後必要に応じて書いていき、後でしっかり閲覧できるようまとめたいです。
また、いくつかの重要な出来事は小説としてもまとめました。
これらクナウザスについて私以上に深く理解した人が、いつか長編小説で三部作を書いてくれたらナァ(または原案・絵の2人で漫画化)、
という夢があったりします(^^;
魔国とは、概念上のもの、国というか、地域のようなものです。歴史上の、クナウザス世界を構築するメインの物語「クナウザス3部作」において語られます。
詳しくはまた別項に書こうと思いますが、その派生を簡単に書きます。
かつて、ウザーポド大陸は不毛な地でした(失礼ながら、ロシアっぽい。実際、帝国は旧ソ連が題材)。北に風、南に水、という、ちょっと相性の悪い二神がおり、神話戦争でも激しい戦闘が長い間続いており、また、ちょうど神々の位置関係から、寒暖の差も激しく、南は冷帯と寒帯、北は乾燥帯、その間は荒涼として寒々としていて農業にも向きません。
(以後、帝国が貧困にあえぐ原因といわれますが、実は、林業、鉱業、魔業、漁業において大変素晴らしい恵みがあります。この地が貧困になったのは、単に、政権がこの地の恵みを軍事発展に使い、人々の平和のために分け与えなかったからでしょう。事実、大陸間大戦時の軍事力はずば抜けており、それが世界征服の野望を生み、「世界の狂犬」と揶揄されました)。
このような状態でしたが、混沌時代からの魔族系には住みやすく、中央大陸のツァルツ神に従わなかったり、独立を目指すようなものたちは多くがここへ移動していました(闇の神と反目するわけではないが、彼らは自分の自由を大事にするため。彼らは漠然と、魔導王なるものの存在を掲げて心の拠り所にしていました)。
するとますます、この山脈や毒の沼地がある場所は人間には住みにくい無法地帯と化しました。
それから長い年月がたち、魔族の中から社会的な、より穏やかで知的な種族「フィンダース」が出てきます。彼らは法の支配を求め、山脈の東の平原を開拓し始めました。もちろん、他魔族に攻撃され、多くの死者を出しましたが、フィンダースの中に当時多数の英雄的存在がいたらしく、魔族VS魔族の戦いは激しさを増していきました。さらにここに、他大陸から流入してきた別の種族が加勢します。
そして、それら英雄達と他種族の連合は当地に多数の小国家を形成し、ついに反社会的な魔物たちを退けました。
それでも、山脈の西側に逃れた魔物たちは、人間、特にかつては魔族だったフィンダースの裏切りにも似た台頭に激しい憎悪をいだき、何度も何度も侵攻し、人々を苦しめました(幾度かの侵攻では、いくつかの小国家が消滅して人類存亡の危機にも陥った)。
その後、異次元入植戦争が勃発。
戦争末期、入植軍の長「天子」は副官の「天支」に、「自分が行動不能になったら、魔族(彼は、特に人類以外のクナウザス土着の生物を総称してそう言った)たちを率いて国を作り、少しでも秩序を与え、人とできるだけ争わせないでほしい、と指示しました。
というのは、ファーゼスは、自分達が力で無理やり押し入り、「人類は生きるために魔物をぶっ殺していい」という、よ~く考えるとすごい野蛮な考えの実行に、心を痛めていたからです。彼の目標は、「他人種だけでなく、魔物を含めたあらゆる生物とできるだけ共生したい」でした。
これを達するため、天子封印後、天支は人類王国群を素通りして当地に赴き、魔国ゼナ建国を宣言しました。その指導者として、これは「魔導王ファーゼス(天子のこと)」の天命である、と魔族たちに宣言します。これは、闇の神を倒してその呪いの力を吸収した天子が、魔王クラスの闇の力を身につけたこともあります。
魔族たちにとって、闇の神が死んだことは衝撃でした。混沌の力がついにこの世界から完全に消え去る、という悲哀の中、この「魔導王(ファーゼスの名は次第に忘れ去られ、魔導王のみ呼ばれる)」はまさに彼らの救世主に感じられたのです。天支の宣言はたくみでした。この「魔導王」が新しいものではなく、闇の黙示録の予言にあるやんごとなき存在なのだ、真の闇の神なのだ、といった風にいいました。特に高度な知性を持つタイプの種族は、天支が少々誇張して、嘘も方便のように言っていることも承知の上で、彼らは人類と争うことに飽き始め、自分達は高度な存在なのだから人間と離れて少し次元をずらした「魔界」を中心に住むべきなのではないか、という意見を持っていましたから、新しい魔導王をその指導者としても期待し、率先して信奉するようになりました。
天支は彼らの中で優秀な者を配下にし、実際に魔界を切り開いて(もともと魔界のようなものはあり、そこに魔族たちがバラバラに住んでいた。天支に従わないものとは戦闘になったが、彼らの軍勢は勝利し、魔界はある程度平定された)、クナウザスの現在の環境にうまく適応できなかった魔族や魔物を混沌の時代を模した若干高次元(7.33333...次元)な世界に住まわせ、残りの雑魚もある程度の掟をしき、人間の世界に出て行かないようにさせました。また、人間達にも、魔の領域に出てきたら殺されても自己責任だ、といいました。
これで、争いはあるにしても、一定の秩序が生まれました。しかしその後、「若干高次元」で自分を封印して眠りについていた「魔王クルゴード」は魔界をバイパスとして利用してクナウザスに出現し、「真の魔導王」を宣言、天支軍を奇襲してうちやぶりました。天支は何とか逃れて潜伏し、反撃の機会を待ちます。その後、クルゴード退治にアガデスから来たものたちと合流し、クルゴード討伐に力を貸しました。
クルゴードを倒してからは再びゼナは元通りになり、天支はさらに魔界を強化し、多くの上級魔族を魔界の奥へと誘い、高度な国家体制を築きました(彼らはクナウザス人を神のような目線で下に見ているようだ)。一方、クルゴード退治に活躍した義賊エーゼはその後、中央大陸から各地へ赴いた(大航海時代)「新開拓団」を率い、海岸沿いに新しい小さな国を作りました。彼は軍事と政治の高度な手腕を発揮し、この新しい小国を他の国とうまく協調しながらまとめあげていき、大きな国家連合(ティスカ。この名前は、クルゴードに滅ぼされた彼の故郷の名前から取った)とします。それに対し、ゼナ、人類を攻撃したいという魔族たちが作った組織と、当地の人類の国家の中で一番大きな国が結託(ハルバン魔連合)し、このティスカ連合と戦争状態になります。ティスカは押されますが、これを由々しき事態と見た天支軍が、不干渉の不文律を例外的に破ってハルバン魔連合を攻撃。魔連合は瓦解します。
ティスカ連合はハルバン派を滅ぼさずに取り込み、ティスカを首都とし、エーゼを連合大統領とした巨大な国家群となります。これで平和になると思われた瞬間、エーゼは何者か(軍部のものといわれる。もともと、ティスカ派の重鎮が、理想主義者のエーゼを利用していたようだ)に暗殺され、クーデターが起きます。軍部の最高責任者は暗殺首謀者とされるもの(本当か?諸説あり)を処刑し
、エーゼの遺志を継ぐとして「ハーティス帝国」として連合を一つの国家にした。
もちろん辺境はすぐにこれに反抗したが、この軍部は元々戦争末期に敵であるハルバン派から闇の力に関する技術供与を受けていて、それをもって鎮圧しました。
ハーティス帝国は建国後はそれでも、不安定だった当地に平定をもたらしてくれるものと期待されていましたが、やはり大きすぎるために不均衡、政治の腐敗などがおき、スラム街などができ、軍部は民衆の不満を、発展著しいヒロア聖王国に向けさせます。かの国が貿易不均衡を生み出している、などいいがかりをつけて商船を攻撃して虐殺、報復とヒロアが攻撃してきたのを「戦争行為」と見なして帝国は聖王国に宣戦を布告。特に、群雄割拠時代に海戦やゲリラ戦などで人間同士の戦いに慣れていた帝国暗黒騎士団に、魔物VS人という古典的な戦いしかやったことがなかった中央大陸の聖騎士団は、倍の兵力にもかかわらず大敗を喫します。
海岸沿いの町が蹂躙されて聖王国は多大な被害を受け、不平等条約を結ばされます(第一次大陸間大戦)。多くの戦争孤児が出て、その一部がアガデスに引き取られていきました(後に登場するシェリルはこのときの孤児でヒロア出身)。
しかしそのすぐ後、聖王国軍はアガデス王国の助けを受け、中央大陸連合軍として帝国軍に宣戦布告。アガデスが外交で仲をもったロン公国から借りてきた新型の軍艦を持つ海軍の支援を受け、補給戦を断つ作戦で占領軍を疲弊させ、これを撃退。勝利目前、帝国に攻め入るか、というところで、帝国軍部は邪教団エスベスの力を借りて秘密裏に研究していた「天を突く塔」の力を悪用し、ヒロア王城ベルテーク内に精鋭部隊を転移させて聖王や王妃を殺害。さらに、魔国ゼナの魔族たちを強制的に従える遠隔の洗脳波動を出し、魔軍により返り討ちにします。
これで、連合軍は一気に叩きのめされ、虎の子の聖騎士団は散り散りになり、「世界の楽園」と称された聖王国の首都フィランは焦土と化しました(しかし、魔の楽園だった場所を短期間で武力で攻め取り、自分達の国だけ裕福になったことで嫉妬を集めていた、世界のバランスを考えていなかったという点では、この高次因果法則の世界においては、こうなるのも因果応報だったのかもしれない)。
その後、ハーティス帝国皇帝は野望の牙を向き、世界全体を支配しようとします。長いものに巻かれるタイプのロン公国はあっという間に降伏してしまいましたが、迷っていたイーマス王国は、アガデスから派遣された星騎士団の説得で踏みとどまります。
その後も星騎士団は活躍し、「魔導王」として復活させられた天子とともに天を突く塔を封印。
同時期、潜伏していた聖騎士たちは、死んだと思われていた騎士団長アルフォンを中心に蜂起して聖都フィランを包囲攻撃します。魔軍の支援を失った帝国軍は壊走します。さらに、ゼナの魔軍は無理やり従軍させられていたのですから、チャンスとばかりに手薄になっていた帝都に侵攻、報復攻撃をします。これにより、皇帝は戦死。最後に皇帝は自分が信頼していた弟の黒騎士団長ネストに全権を委ねます。兄に比べると温和な彼はゼナおよびヒロアと講和条約締結にこぎつけ、第二次大陸間大戦(単に大陸間大戦というと、この二次を指す)はようやく終結しました。
この間に、クルゴードが復活を狙って暗躍していましたが(エスベス教祖アシュウエンネを操っていた)、それも天子に吸収されて消え、魔導王は完全に一つになりました。
これにてゼナは一件落着と思われ、歴史書にもそう書いてありますが、少し裏のストーリーの話しを書きます。
天子ファーゼスは祝勝会の日、天支ウナイブに「今まで私がいない間、がんばってくれてありがとう。そういえば私は、自身が魔導王を宣言するなどの指示を出した覚えがないが、君が考えてやってくれたのだね。世界に道理をもたらすために、ある程度の誇張も必要なときはあるだろう。難しいことを任せてすまなかった。眠っていた間は何もできなかったが、これからは私も、魔導王としてゼナの魔界を統べよう。共に長く世界の共生を守っていこう」といいます。
しかし、ウナイブはそれに首を横に振りました。「魔導王……?あなた様は世界に君臨するお方。すでにそのような『ラベル』は古ぼけて、はがしてゴミ箱にでも投げ入れるようなもの。あの、私達が生まれた研究施設の焼却炉にでも、ね。さぁ、今こそお目覚めください。私の理想、私の神、我が最愛の真の『主』よ……!!」
(以後、ファーゼスはウナイブと共に失踪。『創世主』が世界に光臨して支配を宣言する『神代の夢』事件が起こる)
その後、シェリルたちの活躍で天を突く塔爆破、天支死亡。ファーゼスは天支のことを胸に秘め、魔国で魔導王となります。
これでようやく終わり、というところですが、その後すぐ、ヒロアで内乱が発生。王権についた王女リナが、実は本人ではなく、リナの従者ベローチカであったことがわかり、アルフォン派はそれを不服とし、自分が新しい王につくとしてクーデターを起こしたのです。ベローチカは星騎士団の一員として活躍した一人です。シェリルのよき友人、理解者となり、彼女に、実は自分がリナ王女ではないことも打ち明けていました。彼女は権力欲でそうしたのではなく、全く正反対の人でした。
彼女は古い変身系種族(ゼムセイド、アムセイドの祖先)の血統にある、貴族の子でした。リナによく仕え、おてんばな彼女を支えていました。しかし、城が敵に攻め入られ、リナもまた瀕死の傷を負いました。死ぬ間際、リナはベローチカに、変身してここから何とか逃げ、その後は自分として生き、ヒロアの平和を守ってほしい、と頼みます。
そんなことはできるわけがない、道義としても、とベローチカは拒否しますが、リナの強い遺志が彼女の古い血筋の才能に強制的に作用し、その姿はリナそのもの(声、ふるまいまで全部)になってしまいます。彼女は敵兵士に変身しながら城を何とか脱出し、以後は王女の遺志を継いでリナとして生きました。しかし、エスベスの生き残りが仕返しとばかりに城で暗躍し、彼女のこの弱みに気づき、アルフォン派に教えたのでした。
ベローチカは捕らえられ(英雄アルフォンも権力欲に取り付かれた)、処刑間近となりました。ここで、歴史上では小さな、しかし物語としては大きな最後の事件が起きます。大戦の影の勇者シェリルが単騎で刑場に攻め入り、ベローチカを救出したのです。
当然、彼女も反逆者、犯罪人として追われます。ベローチカは「私を助ける必要は無かった。あなたにはこれからやるべきことがたくさんあったのに!」とシェリルを責めます。シェリルは、世界の道理が理想のようには進まないことをよくわかった上で、個人にできる最高のことは自分の意思で決めていくことだ、人の一生は短いが、それはいつでも行うチャンスがある、と笑って答えます。
シェリルはベローチカ派の軍勢に合流し、僅かな艦隊で逃れようとします。新王権軍はこれを追撃し、せっかく戦争が終わったのに、味方同士で激しい海戦となりました。最終的に、ヒロアと友好関係を築きたいと欲していた帝国の新政権は軍を派遣して新王権軍を支援し、ベローチカ派は降伏します。その中で、大戦の影で戦って世界を救ったベローチカとシェリルは自軍に投降を指示し、自らは海に身を投げて最後をとげました。
(第三次大陸間大戦といわれますが、あまりに戦闘の規模が小さく、この名前は浸透していない)
この話は有名な悲劇として戯曲などで語られ、美しくもはかない少女ベローチカとシェリルの友情物語など、様々に語られます。しかし、その中には、「ベローチカとシェリルは生き延びた」というストーリーも存在します。英雄が死んだということは受け入れられない人々が作った、よくある作り話でしょう。
(※作り話の中に本当の話がまぎれている・・・ そんな都合のいいことがあるでしょうか。ないとはいえないかもしれません。以下のようなことを書き添えます。
新皇帝ネストはシェリルと戦場で剣を交えており、彼女の優秀さを知り、シェリルとは今後、外交などでよい関係を築いていきたいと思っていました。このとき密かに何とか逃がしてやりたい、と思っていたのですが、疲弊しきった帝国を守るためにヒロアとよい関係を作らねばならないので表立ってそうするわけにもいかず、苦悩していました。
一方シェリルは絶望的な防戦の中で重傷を負い、死に瀕していました。
そのとき、海上に濃い霧が立ち込め、忽然と幽霊船のようなボロ船の艦隊が姿をあらわします。それらはゼナの魔軍でした。なぜ彼らがここに介入してきたのかは誰もわかりませんが、とにかくそれはベローチカ派を守るような動きをします。大戦で魔軍に辛酸をなめさせられた聖軍は腰が引けて躊躇します。ここを逃さず、ネストは自分の艦隊をゼナ軍に突っ込ませ、混戦状態を作ります。
この中で、ネストの旗艦はベローチカ派の旗艦を発見し、(同盟軍から隠すようにしながら)攻撃します。ネストはシェリルとベローチカがゼナの魔軍の船に乗り移ったことを確認した上で敵の旗艦を沈めます。魔軍は退き、霧は晴れ、ネストはベローチカ派に降伏を促しつつ、新王権軍に花を持たせるため、軍を引きます。
ヒロアの内乱が被害を最小限にできたのは、帝国軍のおかげのようなものとなりました。このような手際のよさにより、帝国軍へのヒロアの人々の感情は少し改善の兆しを見せます。ネストはこうして自分の目的を果たしました(この優秀な男のおかげで、滅亡寸前までいった帝国は、今ではけっこう普通の大国として落ち着いています)。
九死に一生を得たシェリルはベローチカに「リナとしてのあなたは成仏した。これからはベローチカとして生きなさい」といい、彼女に自由を与えました。シェリルは、救出に来たファーゼスが自らの血液で行った魔法的な輸血により命を取り留めましたが、彼同様、その体の一部は魔族化しました。
そして、大戦後の祝勝会の夜に「妻として魔界にきてほしい」と告白されたときは、人間であることにこだわって躊躇してしまったシェリルでしたが、今度こそ、魔導王ファーゼスの妻となり、2人は魔界の奥深くに姿を消しました。
ゼナでは大戦後、「斑(まだら)の花嫁」についての童歌が流行りました。これがこうして生き延び、魔と人の新しい時代の象徴となったシェリルを表しているかどうかは、誰も知らないことです)
以後、ゼナは魔界の門を封鎖し、国としての活動はほとんどなくなりました。
この地域には、フィンダースの祖先にもなりきれなかった、ゴブリンのような低級亜人種などが散らばって住んでいます。奥深くには上級魔族も多少いますが、ほとんどはクナウザスの地そのものではなく、魔界にいます(またはその両側の中間にいる)。魔界にいるものには暗黒魔法などでアクセスし、一時的に「召喚」することもできます。その場合は、一般的な黒魔術の設定に従います。
彼らに法はありませんが、掟のようなものはあり、もし人間社会に攻め入って、反撃されて滅ぼされても自己責任、やりたきゃやれ、生きたければ慎ましく生きろ、という感じです。これで、魔族の侵攻は限定的になり、被害はありますが、お互いに絶滅するようなものではなく、最小限のものとなりました。
現在は踏破者が入り込むのは自由ですが、当然、危険な場所です。この当たりに何があるのかは不明なことが多いですが、魔界自体にもし入れれば、そこには高度な、全く未知の世界が広がっているものと予想されます。それはそれで、興味深いですが、クナウザスという範囲からは少し逸脱するため、ここで筆を一先ず置きます。